高齢者が自分らしく元気で暮らすカギとは?
若い頃と比較して体力が徐々に衰え、病気やけがをしやすくなるシニア世代。 自立した生活を送るためには、楽しみや目標を持って、身体機能の維持、改善を図ることが大切です。 住み慣れた地域で元気に暮らす高齢者を増やそうと、八戸市の下長・上長地区高齢者支援センターはくじゅ、老健はくじゅ、メディカルコート八戸西病院などが行っている支援事業について紹介します。

地域の中で生きがいを見つける

八戸市が12カ所に設置している高齢者支援センターは、高齢者が地域で安心して生活できるようサポートする窓口です。要介護、支援認定の有無に関わらず、高齢者や家族の相談、困り事に専門職が無料で対応しているほか、地域の中で生きがいを持てるような居場所づくりも展開しています。

主任介護支援専門員、理学療法士、作業療法士らが高齢者を支援しています

同市からの委託を受けて運営している下長・上長地区高齢者支援センターはくじゅは、相談活動はもちろん、地区内で開く介護予防教室といった集いの場の開催をサポートしています。この教室は、同センターが地区住民から運動、栄養、脳トレなど希望のメニューを聞き取り、老健はくじゅや八戸西病院に講師の派遣を依頼。その後、町内会役員や民生委員らが主体となり住民に参加を呼び掛けています。

教室で人気のメニューは、皆で楽しめるスポーツ・ボッチャです。ルールが簡単で、一度負けても「次は勝ちたい」という意欲が湧いてきますし、他者とコミュニケーションを図り、地域の中で自分の居場所を見つけるきっかけにもなります。

八戸市老人いこいの家は、60歳以上の市民が無料で利用できる施設です。市内6カ所ある中の一つ、臥牛荘では、トランプ、囲碁、将棋、カラオケ、踊りなどのサークル活動が盛んに行われています。特にカラオケクラブは活発で、市内の老人施設などへ慰問で披露しながら交流の輪を広げています。

誰かに会えることを喜びに

料理、買い物、掃除など、さまざまな日常生活活動(ADL)だけでも、高齢者にとってはかなりの運動量です。それを可能な範囲で続けながら、地域の集いの場などを通して他者と関わりを持つことで、心身の機能向上が期待できます。

高齢者支援センターでは、「参加させられている」ではなく「楽しいから行ってみよう」と思ってもらえるような集いの場を提供できるよう心掛けています。「仲間と楽しめる」「またあの人に会えた」。それが参加者の喜びであり、地域で健やかに暮らすための原動力にもなっているのです。

三沢市在住の安食和彦さん(83)は2023年9月、八戸西病院に入院。病気により落ちてしまった体力を取り戻すために筋力トレーニング中心のリハビリに取り組み、12月に退院しました。安食さんは長年、プロのサックス奏者として三沢シティバンドの団長を務めています。現在はウオーキングや腹筋運動など自主トレーニングを続けながら、サックスの練習やパソコンを駆使した楽譜の編集などに励み、再び仲間たちとハーモニーを奏でることを目指しています。

自分自身の変化を楽しむ

一方、病気やけがによる入院から自宅復帰に向けたリハビリは、その後の人生に関わる大きなポイントです。老健はくじゅと八戸西病院では、理学療法士と作業療法士が一人一人に合わせたメニューを考え、運動機能訓練はもちろん、ADL訓練、外出や買い物の練習などのほか、ドライブシミュレーターを使用した運転動作の確認(同病院のみ)も行っています。

退院後の運動を習慣づけるためには、「毎日決まった時間にラジオ体操をする」「町内を1周歩く」など、まずは小さな目標を立ててやり続けることが大切です。そして趣味活動、地域の集いの場への参加、農作業や仕事への復帰、自動車運転など徐々にできることの目標を上げると、自身の変化を実感しながら前に進むことができます。

1人で行動に移すのは難しいかもしれません。地域の自立支援事業は、一歩踏み出して他者と交流を持つきっかけになります。自分らしい毎日を過ごすために、ぜひ活用しましょう。