田中 熊谷さんは、これからのまちづくりに当たり「対話と共感」を掲げています。
熊谷 現在、コロナ禍、デジタル化、環境問題への対応など、大きな変化が求められています。それらの課題に対応することで、長年築いてきた八戸の素晴らしい伝統や文化、芸術、地域のコミュニティーなどをしっかりと守ることができますし、市民生活の質の向上にもつながります。
そのために必要なことが「対話と共感」です。市民の皆さんの理解を得るため、積極的に対話をする機会をつくり、相互理解を深め、できれば共感を得ながら、「元気な八戸」に向かって一緒に歩んで行きたいと考えています。
田中 今後、健康増進や子育てなど、市民のためのアプリの開発を進めるそうですね。とてもユニークな取り組みだと感じました。
熊谷 アプリについては、現在さまざまな案を検討しているところです。例えば、ウォーキングなどの運動をするとポイントが付いて、それを地域の特産品と交換できるような仕組みにするのもいいかもしれません。
田中 もし実現すれば、ポイントをためることを楽しみながら健康づくりができますね。
「ちょっと歩いてみようかな」と、一歩踏み出すきっかけにもなると思います。
今、八戸では地元のプロスポーツチームが活躍しています。スポーツを通じた取り組みも考えているのでしょうか。
熊谷 私自身、地元チームの試合を見に行った時に非常にわくわくしましたし、観客の皆さんも熱気を帯びていて、スポーツの人気はやはり根強いと感じました。スポーツには、人間を成長させる力があります。それを活用した人材育成や、地域活性化策も前向きに考えていきたいです。ちなみに私は長年、毎朝4時半前に起床してラジオ体操や筋トレをしていますし、可能な限り車に頼らず、歩くようにしています。
田中 日常的に健康づくりに取り組んでいるんですね。日本では、これから今まで以上に高齢化が進んでいきます。医療・介護 についてはどのような展望をお持ちでしょうか。
熊谷 介護人材の確保のため、資格取得の支援も必要になるでしょう。公約にも掲げましたが、軽度者に対してサービスを提供する、八戸市独自のヘルパー制度の創設も考えています。
田中 市民が広く活躍できる機会と、必要な方にサービスを提供することができる、いい制度ですね。
熊谷 これから、市民の皆さんが生き生きと暮らしていくために大切なキーワードは「地域共生社会」。子育て中の方、高齢の方、障がいのある方などの支援に向けて、さまざまな人たちが連携しながら一緒になって取り組んでいくためのコミュニティーづくりが必要だと考えています。そこにデジタルシステムを導入することで効率化が図られ、支え合いがどんどん充実していくでしょう。
また、子どもの未来は社会の未来であると考え、「子どもファースト」事業を展開します。まずは、子ども医療 助成の対象を拡充しました。今後は教育内容の充実なども進めていくつもりです。
田中 市民一人一人が地域とつながり、支え合うことが、これからのまちづくりの鍵になりますね。介護予防への取り組みも、より一層重要になると考えています。2020年にオープンした八戸市介護予防センターでは、高齢者の皆さんに、当協会の理学療法士が体操指導などを通して健康づくりのお手伝いをしています。
熊谷 コロナ禍で出掛ける機会が減ってしまったことで、身体機能や認知機能が低下してしまう、高齢者の「フレイル(虚弱)」が気掛かりです。今後もアドバイスをいただきながら、センターを活用してできる対策を考えていきたいですね。そして、住み慣れた地域で安心して在宅医療が受けられるようにすることや、市民病院の緩和ケア病棟の活用など、命に優しい取り組みにも力を入れていくつもりです。
田中 これからも連携しながら健康づくりに取り組み、八戸を元気な街にしていきたいですね。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。